死ぬまで働かないといけないのか2024年02月12日 16:12

2月11日の日曜討論で、ある国会議員が「日本の高齢者は健康なのだからもっと働いてもらったらいい」というようなことを発言していました。年金の支給開始年齢はすでに65歳まで引き上げられています。これをさらに引き上げて、高齢者にもっと働けということでしょうか。
もちろん働きたい人は働いたらいいでしょう。仕事を通して社会とかかわりを持つことは人生にとって大事なことです。しかし、生活費を稼ぐために高齢になっても働かざるを得ないというのはおかしいと思います。
政治家、財界、連合などが高齢者に働かせたいのは、働き手不足や社会保障財源のひっ迫などが前提としてあるのでしょう。しかしながら、いつまでも高齢者が現役で活躍し続けることは必ずしも良いことばかりではありません。若者が本来ならば責任ある仕事をしながら成長する機会を奪われます。また、若者が高い報酬を得られません。働き手が不足しているのであれば、単に人手を求めるのではなく、機械化、自動化、省力化を目指すべきです。
社会保障財源についてもお金が足りないのであれば国債発行を通してマネーストックを増やせばよいだけのこと。財源の問題はそもそも政府には存在しません。
高齢者も働かなければ社会に貢献できないわけではありません。消費による社会参加も立派な貢献です。
「三面等価の原則」をご存じでしょうか。生産、分配、支出の三面いずれからみても国内総生産(GDP)は同値になることを示す、マクロ経済学上の原則です。
高齢者は働かないと生産や分配に直接寄与することはできませんが、消費することで支出面でGDPに直接寄与することができます。しかし、三面等価の原則がありますから、その消費は、何かの生産につながり、誰かの所得となって分配されます。間接的に生産、分配にも寄与していることになるのです。
冒頭の国会議員の発言は、なんだか働かない高齢者には肩身の狭くなるような話ですね。でも実際はそんなことはありません。働かなくてもちゃんと経済的に貢献できているのです。
そういう考え方があることが社会に浸透するようにしたいものです。