国民負担率は本当に下がるのか?2024年02月21日 10:54

国民負担率の推移
2月9日に財務省から国民負担率の推計が公表されました。それによると、2022年度から24年度にかけて国民負担率は低下するとのこと。

2022年度(実績) 48.4%
2023年度(実績見込み) 46.1%
2024年度(見通し) 45.1%

国民負担率の計算は簡単で、
(国民個人と民間企業の負担する税金+社会保険料)/国民所得
で算出されます。

下がる理由は、報道によると「企業業績が回復したことや雇用者報酬が伸びたこと」とされていますが、別に発表された実質GDP成長率は、2023年7-9月期、10-12月期と2四半期連続でマイナス成長。2023年度全体でのプラス成長も微妙な状況です。国民所得と国内総生産(GDP)は近い概念なので、国民負担率の分母の国民所得が本当に増えているのか疑問です。
ちなみに、雇用者報酬が増えてもその分企業の支出が増えるだけですので、残念ながら賃上げをしても国民所得の増加には直接寄与しません。
一方、分子となる税金についても、足元の税収は増えています。社会保険料も子育て支援金ができれば今後はさらに上昇しそうです。
その結果、本当に国民負担率が減るトレンドになるのでしょうか?

そこで、過去10年の国民負担率の推移をグラフにしてみました。国民負担率は微増傾向にあり、2回だけ大きく上昇していました。2014年度は消費税5%→8%への増税、2020年度は前年の消費税8%→10%への増税とコロナの影響と想像がつきます。
そのトレンドをひっくり返す見込みが今回公表されたわけですが、コロナ禍から完全に経済が回復し、消費税を5%に戻すくらいのことをしない限り国民負担率は下がらないように思うのですが。。。
ちなみに、グラフの点線は、過去毎年発表されてきた見込みを示しています。近年は、公表された見通しを実績が上回って推移するいわゆる「鳥の羽根現象」が起きています。したがって、今回発表された見通しが実現するかどうか非常に疑わしいと思われます。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://incredible.asablo.jp/blog/2024/02/21/9661072/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。